ぼんぼん (新潮文庫)

ぼんぼん (新潮文庫)

パブリッシャー
新潮社
価格: ¥612

ぼんぼん (新潮文庫)のレビュー

"ぼんぼん"の戦争記
昭和16年、小4の小松洋は中1の兄、洋次郎と行ったプラネタリウムで、北極星がいつか変わってしまうことを知る。絶対に変わらないものなどないことを知った兄弟は、その後、父の死、祖母の死を体験する。さらに、兄弟の幸せな生活に、太平洋戦争が暗く影を落とし始める。・・・

次々と幸せな生活を失っていく洋と洋次郎の姿が、ほんわかとした大阪弁で絶妙に語られている。裕福な家庭に育った"ぼんぼん"こと洋と洋次郎が、戦争を通して成長していくのだが、この物語になくてはならない人物が、小松家にやってきた元ヤクザの佐脇さんだ。落ち着いた物腰、賢くて優しくて、それでいてユーモアのセンスもある。父を亡くした小松兄弟の父代わりとして、兄弟に多大な影響を与えた、素敵なおっちゃんなのだ。
俗に言う戦争文学だけれど、決して暗くなく、むしろ明るく描かれている。絶対、オススメ!